「おしゃぶり」や「指しゃぶり」など、乳幼児が何かを『しゃぶること』についての意見や見解は、否定的なもの・肯定的なものの両方がみられます。
日本では、小児科医・歯科医や年配の方を中心に、『子どもの歯並びに影響する』などの点でおしゃぶりや指しゃぶりに否定的な傾向が強いようですが、海外では、アメリカで「(就寝中の)おしゃぶりは乳幼児突然死症候群(SIDS)の防止に有効」という研究結果が発表されたりするなど、肯定的にとらえる傾向もあります。
みなさんに、育児をするうえで「おしゃぶり」は必要(だった)かどうかを伺ったところ、『はい(必要)』の方と『いいえ(不要)』の方の割合は1:2でした。
【「必要」派の方の経験や意見】
■最初は使いたくないと思っていましたが、産後の入院中に夜どうしても泣きやまなくなって看護師さんに相談したところ、「おしゃぶり使ってみる?」と言われて貸してもらいました。おしゃぶりをすると赤ちゃんがこんなにも落ち着くんだなぁ・・・という感じで、赤ちゃんが安心するなら自分も少し気持ちが楽になるし、ありがたく使っています。 (27歳 北海道 1児のママ・がじはぴさん)
■慣れない育児で子どもの泣き声はとてもストレスだったので、おしゃぶりで泣く回数が減ったのは私にとって重要だった。 (34歳 東京都 1児のママ・なつきんぐさん)
■ぎゃん泣きをして、のどが渇いてしまわないか心配だったので、授乳までの緊急手段としておしゃぶりを使いました。ずっと泣かせるのは、かわいそう。おしゃぶりした後の授乳は、うまく乳首を吸ってくれたので、授乳のトレーニングにもなったかも・・・。 (32歳 埼玉県 1児のママ・ぽこちゃんさん)
■寝グズリがひどく、おっぱいを吸いたがるけど、乳首が痛くて吸わせてあげられないときに役にたった。子どももおしゃぶりを吸うことで落ち着いて寝てくれた。 (26歳 兵庫県 1児のママ・いわかよさん)
■外出先や公共交通機関で泣かれたときにおしゃぶりでしずまってくれるなら、不安やストレスを感じないで済む。 (30歳 東京都 1児のママ・ななさん)
■飛行機に乗る機会が多く、離着陸時の耳ぬきの代わりになり、機内でぐずることがほとんどなくてとても助かっている。 (29歳 神奈川県 1児のママ・朱音ママさん)
■しゃぶっている間はおとなしくしてくれるので、育児に少し余裕が生まれ、落ち着いてお世話できた。 (32歳 千葉県 1児のママ・ちっちママさん)
■泣いている時に、どうして泣くのかと分からなかったことがありました。その時におしゃぶりを買って試してみたら、心静かに泣き止んでくれました! それからは、様子を見て必要かなと思うときに、おしゃぶりを使っていました。泣く理由が分からなくて、泣きやませてあげられないのは、私も辛かったですが、おしゃぶりがあって、私の気持ちが穏やかになれたので、とても良かったです。息子も安心しているようでしたし、使って良かったです。そして、8ヶ月頃から嫌がるようになったので、キッパリやめました。 (28歳 北海道 1児のママ・はるにれさん)
【「不要」派の方の経験や意見】
■現在なくても、不便だと感じない。指しゃぶりをするときに、眠い、おなかがすいているなど、子どもの状態がわかるようになったから。 (23歳 静岡県 1児のママ・ちーさん)
■子どもを黙らせるだけの道具だと思うから必要ないと思う。おしゃぶりよりスキンシップが大切だと思う。 (31歳 岡山県 1児のママ・ルシャさん)
■友人の子どもがぐずった時に、おしゃぶりを使って機嫌をとったり、無理矢理おしゃぶりを口に入れたりしようとする友人のようすを見て、おしゃぶりに頼るのはやめようと思いました。 (31歳 大阪府 2児のママ・そそそん。さん)
■自分の指をしゃぶったり、服や、タオルなど身の回りのものをしゃぶってみることは大切な刺激だとも思うので「おしゃぶり」は基本的には必要ないと思っていますが、「指しゃぶり」をしてだ液のついた手で顔や耳をさわって肌が荒れてしまい、おしゃぶりをさせたほうがいいのかも・・・と迷ったりもしました。 (29歳 岡山県 1児のママ。しぃさん)
■要は育児に楽をしようとしているように思います。泣いたからと言っておしゃぶりをくわえさせるのは、子どもの欲求には応えていないように感じます。 (26歳 千葉県 1児のママ・まなPさん)
■泣いているのをしずまらせるのに一時的に有効だとは思いますが、おなかがすいていたり、抱っこしないとだめだったり、子どもの本当の欲求を満たしてあげないと泣きやまないので、あまりおしゃぶりは重要ではないと思います。 (30歳 兵庫県 2児のママ・siroさん)
おしゃぶりの是非や要・不要を考えるにあたっては、4.で示した『子どもが「しゃぶること」をしなくなった時期』にヒントがあるように思います。
まだ言葉でコミュニケーションをとることができない0歳では、「現在もしゃぶっている」が94%ですが、だんだん子どもの年齢が上がり、言葉でコミュケーションができるようになるにつれて、「現在もしゃぶっている」のパーセンテージは49%(1歳)→27%(2歳)→14.5%(3歳以上)と低下しています。
言葉でコミュニケーションができないうちは、「泣くこと」が子ども(赤ちゃん)にとって唯一とも言える自分の欲求を訴える手段です。特に初めての育児では、ママも赤ちゃんが泣く理由が分からないときもあり、そうした場合に子どもが何かをしゃぶる(しゃぶらせる)ことで親子とも気持ちが落ち着いたり、家事と子どものお世話のどちらもうまくいかなくてママがイライラすることから解放されるのであれば、そうした時期のおしゃぶりや指しゃぶりが全面的に否定されるものでもないでしょう。
しかし、例えば子どもが空腹のときについても、だんだん空腹であることが見て分かるようになり、さらに「ごはんやおやつの時間まで、もう少し待ってね」と言い聞かせられるようになったりと、子どもの成長につれて親子間でのコミュニケーションが容易になってくると、子どもも欲求を訴えるため泣き続けるということが少なくなり、結果的に、欲求をまぎらわすため何かをしゃぶるということもしなくなるようです。『しゃぶることをいつ頃からしなくなったか覚えていない(気がついたら、しなくなっていた?)』というお答えが1歳以上で20~30%に達することからも、「子どもが何かをしゃぶること(をやめること)」には、「言葉でコミュニケーションがとれるようになること(意思疎通できること)」が関係しているのかもしれませんね。
もとに戻す