【ベビカム シニア・アドバイザー】 埼玉医大総合医療センター新生児科 教授・小児科医

おむつとおむつかぶれ

  • 2015-06-29 15:20
  • 一般公開
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あれほど厳しかった暑さが過ぎると、今度は日に日に気温が下がって行くことが実感されるようになりましたね。

9月にはニューヨークでとんでもない事件も起こりました。理由はともあれ、多くの一般市民を巻き込んでのテロや報復攻撃は決して許すことのできない犯罪行為です。第一、「憎しみ」は「憎しみ」しか産みだしません。こんなときにはなかなか頭を冷やしてなんかいられないのでしょうが、各国の指導者の方々にはぜひとも冷静沈着な対応をお願いしたいものです。

また、ビルの爆破・倒壊からの一連の事件をリアルタイムで目にすることになった子どもたちのことも心配です。大人でさえ大きなショック受けた出来事を子どもたちにどの様に伝え、彼らの恐怖をどの様に取り除いてあげればいいのでしょうか。「決め手」となるようないいアイディアは残念ながらないのですが、こんな時だからこそ、そばにじっといてくれる、そんな家族のぬくもりや存在感を大切にしたいと思います。

布と紙、どっちもどっち

さて、今回はおむつの話をしましょう。 最近では紙おむつを使っている方が多くなって、昔ながらの布おむつは少数派なってしまっているようですが。「布」と「紙」と、赤ちゃんの皮膚の健康と言う点においては、いずれを選んでも優劣はありません。

交換回数、紙は布の半分?

新生児期の赤ちゃんは一日に5回から20回以上の排尿をし、また、ほ乳の度ごとに排便をするため、おむつの交換は授乳と並んでお母さんの大きな負担になることは事実でしょう。それもあってか、紙おむつの宣伝では、しばしば何度も交換しなくてもオシリがさらっと保たれる…などということをうたい文句にしている製品もありますね。

実際、おむつ交換の回数は、紙おむつを使っているお母さんの方が布おむつを使っているお母さんに比べておよそ半分であったというデータもあるそうです。

それに、吸収剤の改良で「蒸れ」そのものは軽減したとしても、おしっこを吸い込んだ後の吸収剤の冷たさは赤ちゃんにとって、たいそう不快なのではないかと思います。

また、リサイクルのきく布おむつと違って、紙おむつは経済的にも結構な負担になりますし、大量に排出される紙おむつは、ごみ処理など環境破壊の一因にもなりかねません。私たちはこれまで「便利さ」や「楽」を追及して、結果的に大量消費社会を形作ってきましたが、赤ちゃんとおむつの問題を一つのきっかけに、地球環境の問題を考えてみるのもいいかもしれないですね。

濡れたおむつ、赤ちゃんは不快?

布おむつの最大の欠点は「保水性の弱さ」でしょう。特に夜間のおむつ交換は周囲の大人にとってもなかなか大変です。布を使っている限り、交換に代わる根本的な解決法はないのですが、それでもおむつを夜は1枚多く当てるとか、おむつカバーをパンツ式のものにする、おむつカバーの上からパンツを1枚はかせる、おねしょパッドや古いバスタオルなどを敷布団とシーツの間に挟んでおくなどの工夫がされてきました。

赤ちゃんもおむつが濡れたからといって、毎回必ず泣きだすというわけでもないようで、泣いてないのに、気がついたらおむつが濡れていたなんてこともあったりします。赤ちゃんが泣くのは不快感が原因と考えれば、泣かない場合、本人はそれほど不快には感じていないのかもしれないですね。

それから布おむつを使う場合、おむつカバーには通気性のよいネルなど天然素材のものを使います。また、洗濯時の柔軟仕上げよりも洗剤をよく洗い流して、十分に乾燥させることが大切です。

おむつ交換に際しては、ぬるま湯でオシリをきれいにしてからよく絞った清潔な柔らかい布で丁寧にふきます。よくふいた後、十分に皮膚を乾燥させることがおむつかぶれを防いだり、ひどくしないためにも大切です。暖かな室内であれば、新しいおむつを着ける前に5分間ぐらい裸にしておいてもいいでしょう(でも、この間にもおしっこを飛ばされたりすることがあるんですねえ)。急いで乾かすにはドライヤーを使うと便利ですが、熱すぎる風を当てないように注意してください。

おむつ交換はスキンシップ

赤ちゃんのおむつ交換は、最初の1年間だけでも2000回を越える回数になるそうです。う~ん…大変な回数ですね。おむつ交換は必ずお母さんやおばあちゃん、時にはお父さん(おしっこの時は替えても、ウンチの時はお母さんを呼ぶ…というお父さんも多いとか)、そしておじいちゃんもと、必ず人の手によって行われますよね。

そう、おむつ交換は単に排泄物を処理すると言う事ではなく、赤ちゃんと家族との大切なスキンシップの機会と言えるのではないでしょうか。

(2002.02)
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  • のらくみ
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