【ベビカム シニア・アドバイザー】産婦人科医師/ 元愛育病院院長・元東京大学医学部講師

妊婦生活実況中継

  • 2015-06-29 16:55
  • 一般公開
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身近に38週直前の妊婦(息子のお嫁さん)がいるので、長い時間いっしょにいると「へー」と思うことがあります。

11月末頃(36週に入った頃)

妊婦のつぶやき「少し胃のあたりは空いてきたかな。定期検診では、子宮の出口は柔らかくなっているけれど、まだ子宮口は閉じているとのこと。先生がNSTを やるというのだけれど、毎週やった方が良いのかしら」

今くらいになったら、毎週やる所が多いと思うよ。1970年以後、分娩監視装置を分娩室で使うようになって、周産期死亡率は下がってきた。分娩監視装置を使っていなかった1969年頃には13.2だった周産期死亡率が、1975年頃には10.2へ下っている。ところが赤ちゃんが亡くなる時期を見てみると陣痛がついてからの死亡は、11.6から5.9へと半減しているのに、陣痛が始まる前の死亡は2.8~4.2と変わらない。分娩監視装置だから、分娩が始まる前(陣痛が始まる前)にはこれを使っても意味は無いと単純に考えていたけれど、妊娠中にも使ってみようということで始めたのが、NSTというわけ。

やってみると、妊娠中でも1時間に1~2回くらいの子宮の収縮がある。極く稀なことだけど、この弱い張りにもかかわらず、胎児の心拍数に分娩中に見られるのと同じ様な変化(一過性徐脈)を示すものがあることが判った。特に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になった人たちには注意が必要ということも。その後研究を重ねて、徐脈以外の注意すべき点もわかってきて、今のNSTになった。

でも胎児の脈だけを診ているのだから限界もある。そのほか、自覚的な或いは超音波断層法で判る胎動の状態、羊水の量なども大事だとわかってきた。これで“要注意”という結果が出るのは、数%と少ないので、妊娠何週くらいから、どういう人に、どれくらいの間隔でこの検査をやるかは妊娠中ずっと診ている主治医の判断や医療施設の決まりによるので、病院・診療所によって少し違うと思うよ。

12月6日(38週0日)

夕食のあと「いつもよりちょっと強い張り」とおなかを擦っています。この張りは1回で終わったようで、その後は今までのような張りに戻りました。

今まで水泳中は胎動はなかったのですが、この頃から泳ぐとおなかの中でもよく動くそうです。1回の食事に食べる量は少なくなっている様に思います。『こんなに少なくて大丈夫かな』と思いますが、間で食べているに違いない。

12月7日

昨夜の張りよりも少し強い張り。「おなかよりも、腰というかお尻の方に押される感じでおなかは全然痛くない」そうです。『陣痛』というとおなかが痛いというイメージがあるために、このような子宮収縮の変化があっても「おなかが痛くないから陣痛ではないだろう」と誤解している方がときどきあります。おなかを触ってみるとおなかが(子宮が)硬くなっているので、子宮が収縮しているのがわかります。これが、“強く”“長く”“規則的”に繰り返すようなら陣痛と思って下さい。

■2006年12月27日20時12分。堀口家に3824gの女の子が誕生。生まれるまでの経過は次回に続きます…。

※周産期死亡率:妊娠22週以後の胎児死亡と生後一週間未満の新生児死亡が、出生1000当りいくつあるかを示す数字

※Non-Stress-Test 陣痛というストレスが無い状態での胎児心拍数の変化を調べる検査

(2007.2)
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