内部被ばくに考慮した対応を。がんセンター病院長の公開討論

  • 2011-08-15 10:21
  • 一般公開
  • テーマ:放射能関連
放射線治療に38年以上携わり、3万人以上と日本で最も多くの患者を看てきたとされる臨床医である、国立病院機構北海道がんセンター病院長の西尾正道先生が、「安全に暮らすためのエビデンスと対策」と題して、臨床医の実感として語った公開討論会のもようが、独立行政法人国立がん研究センターのウェブサイトで公開されています。

西尾先生によれば、空間線量率によるγ線の外部被ばくのみでは、ごく一部を扱っているにすぎず、健康被害は語れないとして、放射線線量20ミリシーベルトの安全性について大きな疑問を投げかけています。

また、放射線物質の被ばくは、X線やγ線などの光子線と違って残留放射線を含んでいるため体内に残る可能性があり、発がんの可能性を高めるほか、15カ国の原子力施設労働者の調査や、広島・長崎原爆被爆者の調査報告から、低線量であっても発がん性のリスクがあることを紹介しています。

今後の対策として、西尾氏は、

1)情報隠蔽はしないこと。核種の種類と線量の公開
2)原発事故収束に向けた作業員数の確保と被ばく線量の管理(全線質)
3)移住する場合は「土地・家屋の買い上げと支援金の給付により新天地へ」、
  移住しない場合は「住民の個人線量計による被ばく線量の把握」
4)食物摂取による内部被ばく線量の検討
5)がん要録の体制を確立する

ことを提言しています。

■出典:独立行政法人国立がん研究センター 放射線被ばくについての公開討論会
「安全に暮らすためのエビデンスと対策」
国立病院機構北海道がんセンター病院長・西尾正道氏

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