東大病院放射線治療チーム「放射能はうつるのか?」ブログ掲載

  • 2011-04-21 19:00
  • 一般公開
  • テーマ:放射能関連
東大病院で放射線治療を担当する専門チームによるブログ記事から抜粋してご紹介します。

通称「チーム中川」は医師、原子力工学、理論物理、医学物理の専門家によるチームで、原発事故に関する正しい医学的知識を提供する目的で、ブログとTwitterで情報発信しています。

「放射能はうつるのか?」 2011年4月15日

福島県から避難してきた子供たちが、避難先で偏見を持たれるケースが生じています。一時帰宅された方の受け入れを、避難所などで問題にするケースもあるようです。拒否された方々は、深い心の傷を負うことでしょう。また、心ない言葉をかけた方々のことを想像すると、その人々が、よくわからない放射能の不安から、過剰な反応をしてしまうことも理解できます。

放射線や放射性物質は目で見ることができず、一見影響も全く見えません。このことが不安を大きくしてしまう原因の一つであると思います。そして、放射能への偏見や風評が広がることが被災地の復興・復旧に大きな影響を及ぼします。今私たち(特に大人)は、放射線を“正しく”怖がることが必要です。

私たちteam_nakagawaは、放射線治療のチームです。患者さんに治療として与える放射線は、福島第一原発敷地内で観測されている放射線よりも何倍も強力です。ですが、患者さんの体の外から放射線を与える(照射する)場合、治療後に患者さんにいくら近づいても、私たちやご家族などが被ばくすることは決してありません。…

避難区域に長く滞在していたとしても、現在の内部被ばく量は、放射線治療に比べれば本当に“微々たるもの”です。それによって、周囲の方々が被ばくするようなことなど、決してないことがお分かりになると思います。(もちろん、避難されている方々の放射線による健康被害を考える必要はない、などと私たちが主張しているのではありません。)

環境放射線測定データを見る限り、3月15日以降、大規模な放射性物質の放出はありません。放射線の強さは各地で横ばいか減少傾向にあります。

原発から飛散した放射性物質は、自然に、もしくは雨によって地面に落ちてきます。今、測定されている放射線は、ほとんど地面や草木、壁にくっついた放射性物質から放たれています。一方、大気中の放射性物質は、ほとんど気にする必要がないくらい少なくなりました。

したがって今観測されているデータに基づけば、避難区域に一時帰宅したくらいでは、その方に放射性物質が大量に付着することは有り得ないことがわかります。一時帰宅された方と接触したからといって、その方から(得体の知れない“放射能”は言うまでもなく)大量の放射性物質を受け取ったりすることもありません。

参考:
■東大病院放射線治療チームブログ(team nakagawa)
http://tnakagawa.exblog.jp/
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