放射能関連Q&Aがリリースされました

  • 2011-04-18 19:42
  • 一般公開
  • テーマ:放射能関連
日本産科婦人科学会より、放射性物質汚染が長期化する状況を想定して、「大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内 (続報)」「大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性のためのQ&A」が、4月18日にリリースされました。

大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内 (続報)」では、連日、比較的高いベクレルを含んだ飲食物を摂取するような最大危険時を想定した場合の「安全な甲状腺の被曝量」や「妊婦さんが安心して飲むことのできる水の量」「粉ミルクから栄養を摂取する乳児の許容される被曝量」「野菜や魚介類などからヨウ素を摂取した場合の注意点」などが詳しく紹介されています。

また、「大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性のためのQでは、「放射性ヨウ素」や「内部被爆」の意味、「内部被爆や外部被爆を避ける・少なくするための注意点」「おなかの赤ちゃんを守るための食事の注意点」などが、Q&A形式で分かりやすく紹介されています。

以下、「大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性のためのQ&A」より、内容を一部抜粋してご紹介します。

Q1. 「放射性ヨウ素」って何ですか?
A1.原子力発電所などの事故の場合に大気中などに放出される放射能活性を持った極めて小さなチリのようなものです。

Q2. 「内部被曝」って何ですか?
A2. 大気中にばらまかれた放射性ヨウ素は、時間をかけて地上に降りて来ます。その間に体の表面から受ける放射能被曝を外部被曝と言います。この外部被曝が大量だと、やけどや体内の臓器障害が起こります。一方、この細かな放射性ヨウ素は吸気ともに肺から体の中に、また地上に降りた放射性ヨウ素は食べ物表面に付着したり水道水に混入し、飲食物として体の中に入ってきます。体の中に入った放射性ヨウ素は少量でも近くにある臓器を攻撃しますので健康被害を引き起こす可能性があります。これを内部被曝と言います。

Q3.内部被曝を受けるとどんなことが起こりますか?
A3. いったん、体の中に入ったヨウ素(I-131)は甲状腺に集まりやすいという性質があります。そのため、甲状腺が最も被害を受けやすくなります。甲状腺が50mSv (ミリシーベルト) 以上の被曝を受けると甲状腺がんになりやすくなります。ただし、40 歳以上では影響を受けず、若い人ほど甲状腺がんになりやすいとされています。また、被曝により起こった甲状腺がんは比較的穏やかながん(進行がゆっくり)と言われています。

Q4.内部被曝を避けるためにはどんな注意が必要ですか?
A4.最も影響を受けやすい甲状腺を守ることは体全体を守ることになります。そのため多くの国で、水や食べ物について、甲状腺を守るための(安全に食べることができる)基準値(1kg に含まれるベクレル基準値)を示しています。日本では外国よりもむしろ厳しい(より安全な)基準値を示しています。そのため、実際には、水道水や流通している食品を摂取しているかぎり健康被害の心配はないと考えられています。しかし、妊娠・授乳婦人は用心に越したことはありません。繰り返しになりますが、甲状腺が50mSv の被曝を受けると健康被害の心配がでてきます。

Q5. 胎児(お腹の中の赤ちゃん)を守るための食事の注意は?
A5.
胎児の甲状腺はお母さんの甲状腺より影響を受けやすいので、妊娠してない成人より、お母さんはより安全でバランスのいい食事が必要です。水が汚染されている場合には、野菜なども汚染されていることが多く、また今回の場合は魚介類の汚染も心配です。しかし、本人の健康維持、胎児(お腹の中の赤ちゃんのこと)、ならびに授乳のためにはバランスのいい食事が必要です。下表の組み合わせの飲食は最大危険時を想定したものですが、毎日続けた場合、約82 日間で胎児甲状腺の被曝は50mSv になります。現在のところ入手できる食品にはほとんど汚染がなく、水道水汚染もありません。しかし、爆発など起きるとまた汚染が心配されますので、報道等にはご注意下さい。

最大危険時を想定した食事内容(*1.0 キログラムあたり)と摂取ベクレル
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水道水 100 ベクレル*       1.6 リットル 160*
野菜 2000 ベクレル*       300 グラム 600*
牛乳 200 ベクレル*        200 ミリリットル 40*
チーズ 200 ベクレル*       50 グラム 10*
魚介類 2000 ベクレル*       100 グラム 200*
肉・卵・その他 200 ベクレル*    500 グラム 100*
穀類 200 ベクレル*         300 グラム 60*
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1 日あたりの飲食による総ベクレル 1170*

*摂取したベクレルの総量に0.00047 をかけると胎児甲状腺被曝量(mSv)になります。
*摂取したベクレルの総量に0.00032 をかけると母体甲状腺被曝量(mSv)になります。
*1 日に1170 ベクレル摂取すると、胎児甲状腺被曝は1 日あたり0.55mSv となり、82 日で45mSvになる(残り5mSv の被曝は母親の大気から暴露を想定している)。計50mSv の被曝を受ける場合、水から11.1mSv、野菜から11.1mSv、乳製品から11.1mSv、その他の食品(穀類、肉、魚介、卵など)と大気から16.7mSv の被曝を受けることを想定している。

Q6. 粉ミルクを飲んでる赤ちゃんは安心ですか?
A6.
粉ミルクを汚染した水道水で溶かして飲ませた場合の話です。仮にその水道水が1 リットルあたり100 ベクレル含み、毎日0.8 リットル(800 ミリリットル)その赤ちゃんが飲み続けた場合、200 日で赤ちゃんの甲状腺被曝量は50mSv に達します。(乳児の場合には摂取ベクレルに0.0028 をかけると乳児甲状腺被曝量になる。例えばこの場合、1 日あたり80 ベクレル飲むので、200 日では 80×200×0.0028=
45mSv, 残り5mSv は乳児が呼吸により被曝することを想定している)。

Q7. その他、被曝量を少なくするための注意はありますか?
A7.
野菜や魚介類表面には放射性ヨウ素が付着している場合がありますので、よく洗ってから調理すようにします。もし、水道水汚染の発表があった場合には、1 日〜2 日間、冷蔵庫保存してから飲むと、放射能を9%〜18%程度減少させることができます。ただし、2 日以上保存した場合は細菌が増えている場合がありますので、一旦沸かしてから飲むようにすると安心です。

出典:日本産科婦人科学会
リンク先:http://www.jsog.or.jp/news/shinsai_index.html

■大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内 (続報)
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110418.pdf
■大気や飲食物の軽度放射性物質汚染について心配しておられる妊娠・授乳中女性のためのQ&A
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/Q
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