ほんとうに太っているかどうか調べよう
やせへの関心が大変強い現代では、ほとんどの女性がダイエットを経験していますが、はたしてほんとうに太っているのでしょうか。
肥満というのは、科学的にみると、体脂肪が正常値よりふえている状態です。体脂肪は体脂肪計ではかりますが、女性の場合、体脂肪20%以下がやせ、30%以上が肥満で、これは体重の多い少ないに関係ありません。体重が多くても体脂肪が少ない人は、肥満とは考えません。その反対で、体重が少なくても体脂肪の多い人は肥満と考えます。
体重で肥満を判定する方法は、BMI(ボディ・マス・インデックス)が世界的に広く使われています。BMI値が22になる体重が、もっとも病気にかかりにくい理想の体重です。
BMI値の計算と判定
BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}
=25以上…太っている
=18.5~24.9…標準(理想値は22)
=18.4以下…やせている
極端なダイエットは体重、脂肪をふやす原因に
食事の量を思い切って減らせば体重は落ちますが、急激な体重減少はリバウンドしやすいのが特徴です。しかも、こうしたダイエットでは脂肪だけでなく、筋肉や骨密度まで減らしてしまいます。そのうえ、代謝が悪くなると食べたものを燃やせなくなるので、ダイエット達成後は普通の食事量でも太ります。もとの体重にもどるときにふえるのは筋肉ではなく、ほとんど脂肪なので、リバウンド後は体脂肪が確実にふえるのです。そうして、無理なダイエットやリバウンドをくり返すうちに、健康までもそこなってしまうのです。
極端なダイエットにはたくさんの落とし穴がある
極端なダイエットには、いろいろな害があります。現代の子どもは小学生からダイエットに興味を持ちはじめます。まず親がダイエットの危険性を十分認識し、よく話して聞かせましょう。
●肌や髪の荒れの原因に
ダイエット中も肌や髪のために、ビタミンは減らさないよう心がけているという人がいます。しかし、全体のエネルギーが足りなくなると、必要な栄養素の代謝も悪くなり、せっかく摂取したビタミンも活用されません。その結果、肌や唇、髪が荒れたり、顔色がくすんだりします。
また、きびしいダイエットによるストレスで、ビタミンCが大量に消費されて肌荒れなどの原因に。ダイエットで便秘がちになり、にきびや吹き出ものがふえるということもあります。
●便秘になりやすい
便は食べ物のカスのかたまりなので、食べる量が減ると必然的に便の量も減り、便秘がちになります。便が長時間体内にとどまっていると、体重が減りにくくなるだけでなく、コレステロールや有害物質なども吸収されてしまうので、健康面でも問題です。また、にきびや吹き出ものの原因にもなります。
しかし、便秘だからといって安易に下剤に頼るのは危険。エネルギーの低い野菜や海藻などから食物繊維をしっかりとり、食事量を減らしすぎないようにしましょう。
●摂食障害に要注意!
ダイエットをきっかけに拒食症、過食症といった摂食障害を引き起こす人もいます。拒食症になると食事がとれなくなったり、栄養が極度にかたよったりするため、体重減少から月経異常、貧血、低体温、低血圧などのさまざまな弊害がでます。
過食症は一度に大量に食べてしまい、その後、意識的に嘔吐したり、下剤を飲んだりをくり返す症状で、体重は減りますが、拒食症と同様の弊害がでます。また、低カリウム血症から不整脈を起こすこともあります。
いずれも、体重や体型へのこだわりが極度に強いために起こる心の病気です。摂食障害に気づいたら、心療内科を受診して、早期に治療しましょう。
●冷え症になる
エネルギー不足がつづくと代謝活動が悪くなるため、血行不良から冷えを招きます。また、油脂を極端に減らすことでビタミンEが不足するのも、血行不良の原因の一つです。
冷えは、肩こりや頭痛、腰痛、便秘、下痢、めまいなどの原因になります。理由はよくわかっていませんが、消化・吸収力の低下、貧血、ホルモンや自律神経の変調などが影響するのではと考えられています。
冷えを防ぐためには、ダイエットと同時に運動を習慣づけて代謝をよくし、血行促進を心がけましょう。
●月経不順を起こす
女性の場合、体脂肪が急激に減ると女性ホルモンの分泌が乱れ、月経不順になることがあります。成長期に月経不順になると、卵巣の機能が十分に発達できなくなるおそれもあります。
また、月経不順をほうっておくと、月経の間隔がしだいにあく稀発月経になったり、無月経になってしまうこともあります。20歳代なのに、イライラやのぼせといった更年期に似た症状が現れます。月経不順に気づいたら、早めに治療を受けましょう。極端なダイエットをすぐに中止し、毎日、栄養バランスのとれた食事をすることも大事です。
●無月経になる
無理なダイエットを長いあいだつづけていると、強いストレスや体重の急激な減少から、月経が止まってしまうことがあります。月経があった人が、2~3か月以上なくなった状態を続発性無月経といいますが、その原因の多くは極端なダイエットです(体重減少性無月経)。
月経は一度止まると、もとにもどすのに、止まっていた期間の3~4倍以上の治療期間が必要といわれています。ほうっておくと更年期障害に似た症状が現れたり、子宮や卵巣が萎縮して、妊娠がむずかしくなったりすることもあります。
●骨粗鬆症になりやすい
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨からカルシウムが排出されるのを防ぐはたらきがあるので、ダイエットによって女性ホルモンの分泌が低下したり、止まってしまったりすると、将来、骨粗鬆症を起こす可能性が高くなります。女性の骨量は20歳~30歳代がピーク。10~20歳代で十分な骨量を獲得しておかないと、そのあとで骨量をふやすことは、かなりむずかしくなります。
中高年になると代謝が下がるので肥満に注意
1日なにもしないで、安静に寝ているだけで消費される最小限のエネルギー代謝量のことを「基礎代謝」といいます。成人女性では約1200
中高年になると太るいちばんの原因は、代謝エネルギーが下がっているのに、若いときと同じように食べていることです。中高年の肥満は生活習慣病につながるので、ダイエットよりも、まず太りすぎないように食生活に気を配りましょう。
たんぱく質やビタミン、ミネラルは減らさず、砂糖、油脂、アルコール、穀類のとりすぎに注意しましょう。日常生活のなかで、意識的にからだを動かすことも必要です。
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