赤ちゃんの大切な栄養源となる粉ミルクは、どのように作られているのでしょうか?  今回、川越市にある雪印メグミルクグループのビーンスターク・スノー株式会社「ミルクサイエンス研究所」商品開発部・シーズ研究グループの小林俊二郎さんに、母乳研究と粉ミルクの成分について、お話をうかがってきました。

そもそも、粉ミルクはどうやってつくられているのですか?

粉ミルクは何からできているかご存知ですか? 粉ミルクは、主に牛乳から作られています。とはいっても、牛の赤ちゃんは人間の赤ちゃんより大きく、必要とする栄養が人間とは違うので、牛乳と母乳では、含まれている成分も大きく異なっています。例えば牛乳に含まれるたんぱく質やミネラルは、人間の赤ちゃんにとっては負担が大きく、消化吸収ができません。だから、原料の牛乳をそのまま粉ミルクに使うことはできないのです。
では、どうやって粉ミルクにするかというと、牛乳成分を一度全部バラバラにして、母乳の成分に合わせて配合していきます。粉ミルクの見た目は脱脂粉乳のようですが、中身は全く違うものなのです。
初期の粉ミルクは、ミネラルが現在のものより多く含まれていましたが、その後の技術の進歩で、徐々に母乳の成分に近付いています。
当社では、1960年に、全国規模の大規模な母乳調査を行いました。日本でこのような全国規模の調査が行われたのは初めてでした。それ以来、60年以上、のべ約4000人のお母さんにご協力頂いて、商品開発に活かしています。 中でも当社では、特に母乳に含まれる免疫成分にこだわっています。

母乳には、どんな免疫成分が含まれているのですか?

母乳には、赤ちゃんの感染症を予防するはたらきがあります。生まれたばかりの赤ちゃんは免疫が未熟なので、母乳の免疫成分が、赤ちゃんを守っているのです。 病原体やアレルギー物質は、消化管からからだの中に入ってきます。赤ちゃんの消化管の細胞は未熟なので、感染症やアレルギーにかかりやすいといえます。
これに対し、母乳の中の母乳オリゴ糖には、消化管の中の善玉菌をふやし、悪い菌が増えるのを抑えるはたらきがあります。また、シアル酸やガングリオシドなどの成分が、病原菌を排除します。またヌクレオチドには、ナチュラルキラー細胞という、菌をやっつける細胞を活性化させることがわかっています。
また私たちの調査では、お子さんが飲んでいた母乳の成分とアレルギー発症の相関関係を調べました。その結果、母乳の中のリボ核酸と、ポリアミンという物質の濃度が高い母乳を飲んでいたお子さんには、アレルギーの発症が少ないことがわかりました。 こうした研究を参考に、免疫成分を粉ミルクに配合しています。
さらに、最近の研究では、一日の中でも時間によって、母乳に含まれる成分が違うことがわかってきています。2010年の調査では、母乳中に含まれるメラトニンという成分の量が、日中と比べて、夜の母乳の方が多くなることがわかりました。メラトニンは、赤ちゃんの睡眠に関係すると考えられています。また、寝る時間が遅いお母さんほど、母乳中のメラトニンの量が少ないこともわかりました。メラトニンの量はお母さんの生活習慣にも大きく影響されているのです。
2015年から行われている最新の調査では、これまで行ってきた成分分析に加えて、お母さんの生活習慣と、赤ちゃんの成長や病気との関係についても調査しています。

ミルクで育児しているママへ、メッセージをお願いします!

いうまでもなく、赤ちゃんにとっては、健康なお母さんの母乳が最良の栄養素です。そして、それに近い粉ミルクを作ることが、私たちの開発の基本です。私たちは母乳に限りなく近いものを作りたいと考えています。
粉ミルクを使ってくださるお母さんは、なんらかの事情を持っていると思います。例えば、母乳が出ない、少ない。あるいは、病気やお仕事など…。粉ミルクを使うお母さんの中には、母乳を十分あげられないことに、負い目をもっている方もいらっしゃるかもしれません。 だからこそ、クオリティ、安全性などの面で、そういったお母さんに安心して使っていただける粉ミルクをつくりたいと思っています。母乳により近い粉ミルクであれば、安心して使ってもらえると思うのです。 粉ミルクを使うことで、赤ちゃんが健康に育つのは当たり前のこと。粉ミルクを使うお母さんは、どうぞ安心して赤ちゃんに与えてほしいと思います。

編集部より-母乳をお手本に進化する粉ミルク

※雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所 1階展示スペースにて

インタビューの後は、研究所内を見学させていただきました。アレルギー用ミルクや低体重児向けミルクのほか、特定の成分を調整した治療用のミルク、さらには何と水生生物用の粉ミルクなど、さまざまな商品ラインナップの数々! また、研究室内の冷凍庫では、調査で集めた母乳が、成分が損なわれないよう-80℃で保存されており、研究に生かされているそうです。「責任が重い仕事と日々感じています」と語って下さった小林さん。母乳をお手本に、今後の粉ミルクは、ますます進化していくことでしょう。

 
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