Q.帝王切開後の妊娠出産について
もうすぐ、2人目を考えていますが1人目の出産の時に陣痛中胎児が仮死状態になり緊急で帝王切開をしました。本当に緊急なことで私もパニック状態になり今でもその状況を思い出すと怖くなります。
病院で手術後聞かされたことは、「首にへその緒が巻いてたし、あなたの骨盤は狭いし、次も帝王切開のほうがいいよ」と言われました。今ごろなんでそんなことを言うのか信じられませんでした。それに普通は骨盤と頭の大きさを測るのを出産後に知り、そういえば測ることをしなかったのでなんて怠慢なんだろうとかなりショックででした。
入院中も麻酔で立てないほどの頭痛にさいなまれ、精神的にぼろぼろで最悪状態でした。
こういうことをもう2度と経験したくないのでどうしても2人目は自然分娩をしたいのですがだめでしょうか?母乳マッサージに行ってた助産院では2人目以降を自然で産んだ方もいると聞いてます。よきアドバイスをお願いします。
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1)帝王切開の後の妊娠出産について帝王切開の後は子宮に傷があります。赤ちゃんをとりだした後を縫い合わせた傷です。この傷は本来丈夫なものですが、次のお産の時に子宮口をを広げたり、赤ちゃんを押し下げるために強い子宮の収縮が必要です。この繰り返し起こる強い子宮の収縮(陣痛)が、傷の周囲の筋肉を引っ張るために、頻度は少ないのですが薄くなり時には裂けてしまうことがあります。このような場合には折角普通のお産をと思っていても、超緊急に帝王切開をすることが必要になります。手術が必要と判断してから15~30分以内に手術が始められなければならないという人もいるくらい急ぐ必要があるのです。したがってより慎重にと考えて陣痛が始まる前に帝王切開をする場合も多いのです。(帝王切開をする場合でも麻酔・出血・血栓症などの危険があるとしてもです。)2)緊急帝王切開について様々な利点があるために、できるだけ普通のお産(膣を通ってのお産)を心がけている産婦人科では、帝王切開の頻度は5~10%です。その半分くらいは陣痛が始まってからの*分娩の進行の停止、*胎児に危険がせまった時、*母親に危険度の高い異常が起こった時、等の状態での緊急帝王切開です。このような時には「何故帝王切開が必要になったのか」を理解していただけるように説明しなければいけないのですが、突然のことですのでパニックになってしまい、理解していただくのが難しいことが時に起こります。ゆっくりと時間をかけて説明する余裕があれば良いのですが、それもできないくらい緊急な場合もあるのです。3)骨盤のレントゲン写真について分娩予定日近くに、骨盤の大きさと赤ちゃんの大きさを比較するためにレントゲン写真を撮影することがあります。しかし、*赤ちゃんの大きさはお母さんの大きさに見合った大きさであることが多いこと、*胎児への放射線の影響を考える必要があること、*回旋異常や臍帯巻絡などのために産道は十分広いのに赤ちゃんが下がらないことがあること等を理由にして前もって写真を撮らない方が良いという意見も強いのです。4)帝王切開の後の普通分娩率について普通分娩にしようと相当努力しても40~60%くらいです。逆に今回も帝王切開になる率は60~40%ということです。はじめてのお産の帝王切開率は5~30%ですから、また帝王切開になる可能性は高いということでしょう。今、産婦人科の専門医が「安全にお産を終わらせよう」と一番頭を悩ませ、命を削る思いになっているのは、この帝王切開後のお産の他骨盤位分娩、多胎、破水後の遷延分娩、予定日超過妊娠のお産妊娠中の過剰な体重増加等です。どれも最初から帝王切開をすることに決めてしまえば医師側も命を縮める思いをしなくてすむのですが。
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▼ 堀口 貞夫先生のプロフィール
元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い。JR四ツ谷駅前の「主婦会館クリニック からだと心の診療室」(主婦会館プラザエフ4F)元院長でもあり、女性のからだと心を両面からサポートしていた。著書に『あなただから だいじょうぶ』(赤ちゃんとママ社)、『改訂版 夫婦で読むセックスの本』(電子出版)など。
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