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転落、窒息、誤飲、誤嚥…家庭における乳幼児の不慮の事故を防ぐには?
2010/04/23(金) 11:51

【赤ちゃんとお母さんの健康について考える】
「お母さんや赤ちゃんにとって健康ってなんだろう」、
「妊娠前や妊娠中に特に気をつけることは何かしら」など、
妊娠をきっかけに、今まで以上に健康に関心が高まるお母さんは多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ベビカムマガジンで連載している小児科医作間先生の記事の中から、
家庭における乳幼児の不慮の事故についてのお話をご紹介します。
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絶対に避けたい転落、窒息、誤飲、誤嚥…。
家庭における乳幼児の不慮の事故を防ぐには?
小さいお子さんの成長・発達は著しく、お父さんやお母さんにとっては、毎日が嬉しい驚きの連続でしょう。大切なお子さんを事故や病気から守り健やかに育てることは、お父さん、お母さんの喜びであると同時に、大切な役割でもあります。
現在の日本では、医療の発展により病気による子どもの死亡は減少していますが、事故による死亡は未だに多く発生しています。
では、実際にどれくらいの頻度で事故が起きているのでしょうか?
例えば、東京都内では約50人に1人の子どもが事故に遭い、救急車で運ばれているという報告があります。(平成18年度東京都消防庁「都民生活における事故」より。)
また、全国の1~14歳の子どもの試飲の第1位は事故です。(平成20年厚生労働省「人口動態調査」より)。0歳児でも、ほぼ同数からそれ以上の数の事故による死亡が報告されており、子どもを持つ家庭では、事故に対する認識を高く持ち、正しい知識を得ることがとても大切です。
ひと口に事故といっても、交通事故や転倒・転落、溺死、窒息、火災、火傷など、さまざまな事故が含まれます。特に0~4歳児では、家庭内で起こる事故による死亡が交通事故死よりも多いのが特徴です。年齢が上がり、行動範囲が広がって、外に出ていく機会が多くなるにつれ、事故の中でも交通事故の占める割合が大きくなっていきます。
今回は家庭内事故に着目し、子どもと大人の違いや子どもの成長・発達という観点から、起こりやすい事故とその予防について考えてみましょう。
家庭内事故の原因は
子どもの成長によって変わります
最初に、子どもはなぜ事故に遭いやすいのかを考えてみましょう。
大人とは違う子どもの特性を理解することで、起こりやすい事故を予測し対策が立てやすくなります。
子どもは大人と同じ環境で過ごしていますが、その身体や運動能力、視界が大人とは全く違うために、大人では問題にならないような身の回りのものが事故の原因になり得ます。実際に家庭内で起きている事故は、家具やドア、おもちゃ、電池など、さまざまな身の回りのものが原因となって生じることがほとんどで、事故が起きた時の身体のダメージも大人と比べると大きくなりがちです。
子どもの特性を大きく分けると、身体の大きさ・バランス、身体機能、運動能力、理解力などがあり、これらは成長・発達とともに日々変化します。そのため、子どもの成長段階や変化に応じて、起こりやすい事故もまた変化していくのです。
では、年齢別の家庭内事故の傾向を見てみましょう。
0歳児で最も多い家庭内事故死の原因は窒息です。83%と圧倒的に多く、続いて溺死(10%)、転倒・転落(2%)となります。
1~4歳児になると、窒息(33%)と溺死(33%)が依然として大きな割合を占めますが、窒息が減り溺死の占める割合が増える点や、転倒・転落(16%)、火災(10%)なども見られるようになるなど、ここでも成長とともに原因が多様化してくるのがよく分かります。
おすわり前の赤ちゃんは「転落」「窒息」に要注意
次に、赤ちゃんの成長段階における具体的な例をいくつか考えてみましょう。まず、「おすわり」ができる前の時期の赤ちゃんには、どんな事故が起こりやすいでしょうか。この時期の赤ちゃんには、
1)じっとしているようでよく動く、
2)自分の意思ではものを動かせない、
3)手に触れるものを何でも掴む、
などの特徴があります。
1)じっとしているようでよく動く、を更に考えてみると、寝返りができなくても、手足を動かして体が移動することもありますし、寝返りをして戻れなくなることもあります。また、昨日はできなかった寝返りが、今日から急にできるようになることもあります。
その結果、ベビーベッドやソファーから転落する、ベビーベッド柵とマットレス間の隙間に顔がはさまって窒息する、寝返りをしてうつぶせになって窒息する、などの事故が起こり得ます。
これらを防ぐには、赤ちゃんを高いところに置いたまま1人にしない、ベビーベッドの柵は必ず上げる習慣をつけるなどがあります。また、窒息を防ぐためには、赤ちゃんがうつぶせになった時に鼻や口をふさいでしまうような柔らかい枕や布団の使用は避ける、ベッド柵と布団の間に隙間があるときは固いタオルなどで埋める、などの工夫も効果的です。
おうちの中の整理整頓が
赤ちゃんの誤飲と誤嚥を防ぎます
次に、「はいはい」から「つかまり立ち」までの時期の赤ちゃんの例を考えてみましょう。この時期は、
1)自分で移動できるようになる、
2)指で小さいものを掴むことができる、
などの特徴が出てきます。2)のように、赤ちゃんの口に入る小さいものが掴めるようになると、危険という概念がない赤ちゃんは、タバコや薬、コイン、電池、ボタンなど、目にはいるものには何でも手を伸ばし、口に入れてしまいます。
このように、飲み込んではいけないものを誤って飲み込むことを、「誤飲」、誤って飲み込んだものが食道ではなく気道に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいますが、この時期から誤飲や誤嚥による事故が特に増えてきます。
誤飲や誤嚥は、飲み込むものによっては窒息や中毒などの原因にもなりますし、場合によっては、胃の中の洗浄や手術など、赤ちゃんの身体に負担が大きい治療が必要になることもあります。死亡にまで至らない例も合わせると、誤飲・誤嚥は、小児科医が最もよく見る家庭内事故のひとつです。
予防としては、とにかく部屋の中を整理整頓し、手の届く範囲にモノを置かないことです。行動範囲が日々広がる子どもにとっては、思いがけない場所でも手を伸ばしてくることがあります。届かないだろう、見えないだろう、と出しっぱなしにするのはやめて、鍵のかかる棚などにしまう習慣を徹底しましょう。
正しい知識できちんと予防すれば
家庭内事故は必ず減らせます
今回は2つの例をご紹介しましたが、子どもの特性や成長段階に応じて、起こる事故は多岐にわたります。子どもの事故についてもっと知りたい方は、東京都が作成している乳幼児期の事故防止学習ソフト(※注)がわかりやすくできていて、おすすめです。
こうした例を参考にして、具体的な注意点や対応策を知ることは、事故予防にとても効果的です。実際に、子どもの時期に関するさまざまな研究から、保護者の注意によって事故の発生する割合が下がることが明らかになっています。正しい知識を持って的確な予防をすることで、事故は減らすことができるのです。
ただし、おうちの環境や状況によっても、注意点や対応策は変わってきます。大切なのは、子どもにとって事故は身近な危険であることを保護者がよく認識し、時期に応じた子どもの特徴を理解して、子どもの成長発達は日々変化するという観点から家庭内事故を考えることです。
お子さんの素晴らしい特性である目覚しい成長や発達に注目し、家族の皆さんでその変化をよく観察して楽しみながら、どんな事故が起こり得るのか想像・予測してみましょう。そして、ご家族内で話し合って、各家庭の状況や環境に合った対策を立てましょう。
危険を恐れるあまり、お子さんの行動をダメダメと制限してしまうよりも、できる予防をしっかりしながら、お子さんを安心してのびのび育てられる環境を作ることが大切です。
(※注)東京都「見つけて防ごう!子どもにとっての身近な危険~乳幼児期の事故防止学習ソフト~」
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作間未織先生(小児科医)
東京慈恵会医科大学卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院に留学し、
現在は国内で臨床研究に従事。今後はさらに子どもの健康教育に
力を入れたいと考えている。
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