冬の風邪
まず風邪にかからないのが一番だと思いますが、日頃どんな注意が必要でしょうか?赤ちゃん(子ども)に対して、どんなケアを心がけたらいいのですか?
「風邪をひかせない」育児や「熱を出さない」育児は不可能です。赤ちゃんは病気になることで自分の免疫力を鍛えているワケで、病気になることも成長の大切な一過程であるといえます。 とはいえ、熱を繰り返し出したり、高熱で苦しんでいたりするのは見ていられないものです。予防できれば何かよい方法をと考えるのは、親なら当たり前のことですよね。しかし、残念ながら確実な予防法はありません。ウイルスが原因の感染症(いわゆる「風邪」)には基本的に抗生剤などの薬は効果がありません(インフルエンザに対しては、最近は有効な抗ウイルス剤が使えるようになりました)。
ですから、かかってしまっても対症療法が中心になりますし、それ以前に予防が一番ということになります。「外出から帰ったらうがいと手洗いを忘れない」、「人込みには出かけない」、「休息を心がけ、体力を消耗しない」など、昔から言われている一般的な予防策が大切です。また冬は乾燥し、のどにウイルスが貼りつきやすくなっていますので、適度な水分補給も大切です。
実際、風邪をひいてしまい、熱が高くなってきたときは、どうすればいいですか?
熱が高いときは、氷枕や氷のう、冷たいタオルで体を冷やしてあげましょう。冷やすことによって熱を下げることはできませんが、ひんやりして気持ちがよく、体がラクになって、よく眠れるようになります。「ひたい」だけでなく、「脇の下」、「ふともものつけね」なども、効果的です。
また熱がうまく発散できるように、かける布団は少なめにします。汗をかいたらパジャマをこまめに替え、シーツやタオル類が湿ったときも早めに替えてあげましょう。部屋の温度は普段より低めにします。18〜22度ぐらい。湿度は60%ぐらいを目安とします。
一方、熱の出はじめは寒気がすることがあります。赤ちゃんが体を縮めてガタガタと震わせたり、熱はあるのに手足は冷たいというときは、十分な保温が必要です。特に寒い時期は、湯たんぽで布団の中を温めてあげてください。寒がっているときは、部屋の温度も高めにします。25度ぐらいまで上げてもよいでしょう。
この場合、赤ちゃんの平熱(元気なときの体温)を知っておくと、発熱の目安になります。
嘔吐や下痢をともなう風邪の場合、ケア方法を教えてください。
嘔吐や下痢といった消化器症状が見られる場合には、無理に食事をとろうとするとかえって症状を悪化させてしまうことがあります。しかし、乳幼児では嘔吐・下痢が続く場合には「脱水症」に対する注意も必要です。脱水症とは、赤ちゃんのからだにある水分量はとても少ないために、高い発熱や下痢、嘔吐をくりかえすと、体内の水分は急速に失われてしまいます。その結果、血液や細胞内外の体液のバランスが大きくくずれ、からだの諸機能が正常に働かなくなってしまいます。
唇がかわき、皮膚がカサカサしてくる、尿の量や回数が減ってくる、泣き声が弱々しくなり、ぐったりしてくる、呼吸が苦しそうになるなどの症状が出てきたら注意してください。飲食は少量づつ頻回に分けてゆっくりと与えることが必要です。また、意識的に水分の補給を心がけましょう。下痢や嘔吐がおさまってきても、いきなり普通の食事に戻すのではなく、おもゆからお粥へと調子を見ながらステップアップしていきます。
脱水症状は、怖いですね。具体的な水分の補給の仕方を教えてください。
まず、「吐きけがあるときの水分の与え方」ですが、吐いたあとにすぐ飲ませると、再び吐いてしまいがちなので、10〜15分ほど様子を見ます。吐き気がこないようなら、少量を与えてみます。冷たく、さっぱりした口あたりのもののほうが吐き気がこないので、赤ちゃん用イオン飲料や、冷ました白湯や麦茶、番茶、薄く塩味をつけた冷たいコンソメスープやリンゴジュースなどがよいでしょう。
「下痢がひどいとき」は、水分を赤ちゃんがほしがるだけあげてください。母乳、ミルク、赤ちゃん用イオン飲料、麦茶やジュースなど、飲む量や回数にこだわらずに。余計に下痢になると考え、飲ませるのを控えたりしないでください。体の中の水分を失い、脱水症状になるほうが危険です。
薬をなかなか飲んでくれないのですが、上手な飲ませ方を教えてください。
よく飲み薬をミルクに混ぜて飲ませようとする人がいますが、ミルクの味が変わってしまい、嫌がって飲まないことがあります。しかもその味の印象が残って、ミルク嫌いになることもあるので、やらないほうがいいでしょう。果汁や麦茶に混ぜた場合も、飲まなかったときは、溶かした薬は無駄になってしまいます。シロップや粉薬の場合も、飲み物に混ぜるのはやめましょう。
シロップの場合は、赤ちゃんをひざに抱いて、スプーンで流し込んであげてください。スプーンにはたくさん入れずに、何回かに分けて少しずつ。またスポイトで少量ずつ飲ませたり、ほ乳瓶のニプル(乳首)をカラのままくわえさせ、吸いはじめたら準備しておいたシロップを入れてもいいでしょう。 粉薬の場合は、少量の水を入れて練り上げ、人差し指の先につけて、赤ちゃんのほほの内側に塗り、おっぱいやミルクを与えてください。
監修:加部一彦先生/愛育病院新生児科部長
小児科医。都内の大学病院、総合病院の新生児部長、新生児集中治療室で、主に何らかの病気をかかえる赤ちゃんのお世話に明け暮れている。3人の男の子の父親でもあり、パソコン、インタ-ネットを武器に、日々成長する息子達とも闘いの毎日である。著書に「手のひらのなかのいのち」(ゆみる出版)、「障害を持つ子を産むということ」(中央法規出版)など。