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旅客機の座席ベルトも確実に

●ある乱気流事故の「航空事故調査報告書」

今日12月19日、国土交通省の運輸安全委員会から、ある1件の「航空事故調査報告書」が公表された。公表されたのは、平成19年10月27日に中国・杭州から成田空港へ向かっていた日本航空インターナショナル636便(ボーイング767-300型機、乗員11名・乗客234名)が成田空港への着陸途上で乱気流に巻き込まれ、乗客乗員7名が負傷した事故についての報告書である。

この事故で、乗客の女性(78)が重傷を負った。


●座席ベルトをしていたのに重傷

乱気流に巻き込まれた旅客機での負傷ということで、多くの人は「座席ベルトをしていなかったのだろう」と思うかもしれないが、重傷を負った女性は、座席ベルトの着用を怠っていたわけではない。

当該機は、成田空港への着陸途上で台風の影響による乱気流に巻き込まれた。もとより着陸前であり、気象条件からも揺れが想定されたため、乗客にはベルト着用が念入りに指示されており、その女性も「自分がしっかり座席ベルトを締めていること」を何度も確認していたという。

しかし、女性がひざの上に荷物(自身のバッグ)を抱えていたため、機体が大きく揺れた際に座席ベルトのバックル(留め金)部分にバッグが当たってしまい、その影響でバックルがはずれ、女性の体は約1メートル宙に浮き上がった。隣席にいた女性の夫がとっさに女性の足首をつかんだため、女性は客室の天井にぶつかることは避けられたが、落下して前の座席に叩きつけられ、重傷を負った。


●座席ベルトのバックルには欠陥なし

締めていることを何度も確認したはずの座席ベルトがはずれたということで、ベルトやバックルに欠陥がなかったかについては、運輸安全委員会により徹底的に調査された。そして、再現実験などの結果、欠陥はなく、ひざに抱えていたバッグがバックルに当たったことが原因だと実証された。


●「荷物は上の棚、または、前の足元に」という指示には意味がある

旅客機に搭乗の際、「荷物は上の棚、または、前の足元に」ということ、すなわち、「ひざの上に荷物を持たない」ということは、念入りに指示される。当該機でも、乗客にはベルト着用とともに荷物の件も重ねて指示されていたが、その女性は指示に反してバッグをひざに抱えていた。

そのように指示されるのは、荷物に隠れて客室乗務員が乗客のベルト着用状況を確認できないこと以上に、今回の事例のように、揺れで荷物が動いたときにバックルに引っ掛かるなどで、ベルトがはずれてしまうことが想定できるから、禁じられているのだ(最大の理由は、荷物が宙を舞い、他の乗客への"凶器"になることを防ぐためだろうが)。


●理想的には、幼児にも座席を確保してチャイルドシートを!

ひざの上に抱えるという点では、2歳以下の乳幼児、とくに、自分で動きたがる幼児と搭乗の際にも、気をつけたい。

ひざの上に抱っこした子どもが足をばたつかせたりして、子どもの足が座席ベルトのバックルに引っ掛かり、ベルトがはずれてしまうことは、絶対にあり得ないとは言えないだろう。まさにその瞬間、乱気流に巻き込まれたりしたらどうなるか・・・?

考えたくもないが、親子ともどういう状況に陥るかは、容易に想像できる。そこまで極端なケースでなくても、乱気流などのとき、保護者が抱っこすることだけで乳幼児の安全を確保できるだろうか?

この点について、従来は「保護者の責任(しっかり抱っこすること)」を原則としていた航空会社も、最近では、「おすわり」ができる月齢以降の幼児については、乗用車用のチャイルドシートを使用し、「座席ベルトでチャイルドシートを固定→チャイルドシートのベルトで、チャイルドシートに座らせた子どもの体を固定」の、いわば二段構えで子どもの安全を確保する方向に変わってきている。

上記の方法では座席を利用するので、もちろん(子どもの)運賃・料金は必要になる。2歳以下の乳幼児は、座席を使用せずひざの上に抱っこであれば、無料(国内線)または大人の10%程度の乳児運賃(国際線)なので、それと比べて出費は小さくないが、欧米諸国では、それを安心料? と割り切ってか、乳幼児と搭乗の際には、自前のチャイルドシートを持ち込むことがかなり一般化しているという(欧米諸国では、旅行先ではレンタカー利用が一般的であり、機内に持ち込んだ自前のチャイルドシートを、旅先でのレンタカーでも使用している)。

日本国内でも、乗用車用チャイルドシートが普及したことも相まって、各航空会社(国内線・国際線)とも、乳幼児連れで搭乗する家族には、チャイルドシートの使用を推奨している。国内2大航空会社のうち、全日空(ANA)は乗客自身の持ち込みのみだが、日本航空(JAL)では、チャイルドシートを持っていない家族のため、事前予約によりチャイルドシートを無料でレンタルできるサービスもある。

以上は「おすわり」できる月齢以降の子どもの旅客機内での安全確保の方向性だが、では、まだ「おすわり」できない乳児については、どうなるのだろうか?

この点について、一部の航空会社では、(ベルト着用サインが点灯する)離着陸時などを除いた上空での水平飛行時に、機内での「抱っこひも」や「スリング」の使用を認めているところもある。

飛行機で移動することが一般化した結果、乱気流など搭乗中のアクシデントで、乗客がケガをするケースも少なくない。子ども連れで搭乗の際の疑問点、とくに安全に関わることについては、事前に各航空会社のWebサイトで調べたり、テレフォンセンターに問い合わせたりするなどして、安全に旅行を楽しめるよう準備してほしい。


⇒国土交通省「運輸安全委員会」ホームーページ
 (新着情報 12月19日「<航空事故調査報告書1件の公表について>平成19年10月27日に成田国際空港から南東約75km上空で発生した(株)日本航空インターナショナル所属ボーイング式767-300型航空事故」を参照)


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