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ハロゲンヒーターなぜ壊れる
- テーマ:安全
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●多発するハロゲンヒーターの事故
去る11月20日にベビカムニュースでも報じた通り、ハロゲンヒーターの事故が多発している。国民生活センターには2006年度、07年度と2年連続で100件以上のハロゲンヒーターの事故情報が寄せられているほか、事故情報を受けて、メーカー・販売店などが製品のリコールを告知しても、なかなか対応が進まず、事故の危険性のある製品の回収が遅れて、また事故を引き起こす・・・という状況にもつながっているようだ。
そもそもハロゲンヒーターとは、どんな暖房器具なのだろうか?
「ハロゲン」と聞くと、自動車の「ハロゲンヘッドライト」を思い浮かべる人も多いだろう。自動車のヘッドライトに使われているものと、原理的には同じランプ(電球)の1種である「ハロゲンランプ」を熱源とする暖房器具が、ハロゲンヒーターである。
●ハロゲンランプそのものは長寿命
ハロゲンランプは、広義には白熱電球の1種である。違いは、電球内部の光源になるフィラメントが短時間で焼き切れないように電球内部に封入しているガス(不活性ガス)の成分にある。
通常、白熱電球の不活性ガスには窒素やアルゴンが用いられるが、ここに微量のハロゲンガス(一般的にはヨウ素または臭素など)を混ぜると、「ハロゲンサイクル」という化学反応により、フィラメントを長寿命化できる。
結果的に、同じ消費電力なら通常の白熱電球に比べてハロゲンランプは「明るくて長寿命」という特性を持つこととなり、この特性が自動車のヘッドライトに適していたため、広く用いられるようになった。
使用条件や環境にもよるが、白熱電球の寿命は1,000~2,000時間といわれているところ、ハロゲンランプそのものの寿命は、平均で5,000時間(短いものでも3,000時間、長いものだと8,000時間以上など)といわれている。
●ハロゲンランプを熱源として使用できる理由
ここまで述べてきたのは、電球(光源)としてのハロゲンランプの特性である。
もちろん、白熱電球であれハロゲンランプであれ、点灯中の電球本体は素手で触るとやけどするような温度になっているが、その熱が暖房機としての熱源になっているのではない。
ハロゲンランプは、可視領域(目に見えるもの)のほか、いろいろな波長の光を放射しているが、ある種のセラミックには、そうした光の照射を受けると、人が暖かさを感じる「遠赤外線」を放射するものがある。
ハロゲンランプをセラミックで覆い、ハロゲンランプの光によってセラミックから発生する遠赤外線を熱源とするというのが、暖房機としてのハロゲンヒーターの原理である。
●ハロゲンヒーターの特性
上に述べたような作動原理により、ハロゲンヒーターには以下のような特性がある
◆暖房の立ち上がりが早い:例えばエアコン暖房では、電力消費の大きい室外機のコンプレッサーが作動し、暖気が出始めるまでにはある程度時間がかかるが、ハロゲンヒーターでは、スイッチオンでランプが灯れば、ただちにセラミックが遠赤外線を放射し始める
◆空気を汚さない:ストーブやファンヒーターのように、ガスや石油の燃焼による熱を熱源としているのではないため、部屋の空気を汚さない
このような特性から、新生児期や授乳期の乳幼児がいて、冬の真夜中でも授乳やおむつ替えのため起きなければならない時などは、暖房の立ち上がりが早いハロゲンヒーターは、確かに便利だ。
もっとも、ハロゲンヒーターによる暖房は、「すぐに(部屋が)暖まる」のではなく、「すぐに暖かいと感じられる」という性質のものである。エアコン、ストーブや温風ヒーターのように、室内の空気を暖めているのではなく、人間が暖かいと感じる遠赤外線が熱源なので、部屋全体を暖房する用途には、あまり向いていない。
(注1)このような「空気は暖めないが、遠赤外線の照射を受けた対象物の表面は高温になる」という特性を持つハロゲンヒーターは、焼付塗装やクリーンルーム内での洗浄後の機械部品の乾燥など、製造現場では以前から広く用いられており、この特性を家庭用暖房機に応用したものである。
(注2)「空気は暖めないが、遠赤外線の照射を受けた対象物の表面は高温になる」という特性のため、部屋全体が暖まらないから・・・と言って、ハロゲンヒーターをつけっぱなしにし、遠赤外線を体の一部分に長時間受け続けると、「低温やけど」の危険性がある。
●ハロゲンヒーターなぜ壊れる (1)もともと、他の電気暖房機より寿命は短い
すでに述べた通り、ハロゲンヒーターの熱源を構成するハロゲンランプの寿命は、平均で約5,000時間である。冬場の6ヶ月間、毎日朝の起床後2時間と夕方の日没後から就寝までの4時間の1日計6時間稼動させたとしても、6時間×180日(6ヶ月)=1,080時間で、だいたい5年でハロゲンランプの寿命を迎えてしまう。
上記は1日6時間の使用を前提とした計算だが、本来、部屋全体の空気を暖めるのには不向きなハロゲンヒーターを、そうした用途で起床時間中ずっと使い続けると、例えば1日12時間起きているとすれば、わずか2年程度で寿命を迎えることになる。
この数年から5年という寿命は、他の典型的な電気暖房機、なかでも旧来型の電気ストーブや電気コタツなどと比べると、感覚的にも明らかに短い。
電球(光源)としてのハロゲンランプは、白熱電球に比べ長寿命だが、電気暖房の熱源として、決して寿命は長くない。
●ハロゲンヒーターなぜ壊れる (2)熱源そのものに、実は耐熱性に劣るものもある
上記のハロゲンランプの寿命による不作動は、使用者にとって、他の(旧来型の)電気暖房機と比べて「長持ちしない」というイメージ的な不満にはつながるだろうが、危険性はあまり高くない。
大きな問題になっているのは、寿命による不作動ではなく、作動中に熱源のハロゲンランプが破裂爆発し、高温のガラス片などを撒き散らして、やけどや火災の原因になっていることである。
ハロゲンランプを構成するガラス(管)には、もともと通常の白熱電球より耐熱性の高い石英ガラスが使用されている。しかし、そうした耐熱性の高いものでも、セラミックの発熱体と至近距離にあるため、品質の粗悪なガラスが使用されていると、通常想定されているハロゲンランプの寿命よりはるかに短い時間で、使用中の高熱に耐えられなくなり、破裂爆発して高温のガラス片などを撒き散らす事故につながる。
また、ハロゲンヒーター本体については、地震などで転倒したときに電気を遮断する安全装置は備えられているが、安価なものでは、発熱体であるハロゲンランプに、持ち運んで床に置いたときなどの衝撃や振動を吸収する仕組みを省いているものも多い。こうした安価品で、あちこちの部屋に持ち運んだりを繰り返していると、衝撃や振動でハロゲンランプの取り付け位置がずれたりした結果、ハロゲンランプのガラス(管)に無理な力が加わったり傷がついたりして、使用中の突然の破裂爆発につながる場合もあるようだ。
いずれにせよハロゲンヒーターは、他の電気暖房機に比べ、寿命が短いことは否定できないようだ。ハロゲンヒーターを、すでにある程度の期間使い込んでいる人、あちこちの部屋に頻繁に持ち運んで使っていたような人は、使用にあたっては細心の注意を払い、少しでも異変を感じたら、ただちに使用を中止してほしい。
⇒国民生活センターホームページ
〔画面左上の『ご注意ください』製品の不具合が目立つハロゲンヒーター(2008年11月19日)を参照〕


