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環境問題
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ほんとうに安全な「水」とは

●人気の輸入ミネラルウォーターが異臭騒ぎで回収に

すでにテレビ・新聞等のマスコミ報道で知っている人も多いと思うが、輸入ミネラルウォーターのなかでも人気の高いフランス産の「ボルヴィック(volvic)」の一部に、ペンキの臭いがするものがあったため、ある期間の輸入分について、国内販売元が商品の自主回収を実施している。ボルヴィックは、ヨーロッパのミネラルウォーターでは例外的に、赤ちゃんのミルク作りにも使える軟水のため、この問題が気になった方も皆無ではないだろう。

中国産冷凍食品に端を発した輸入加工食品に限らず、国内産食品への化学物質混入の事件も後を絶たないなかで、基本的に水源から採取された天然水を、(多少の滅菌や消毒処理等はあるにせよ)あまり手の込んだ加工プロセスを経ることなく製品化しているミネラルウォーターまでもが混入騒ぎかと一時は危惧された。しかしその後、輸送に使ったコンテナの一部に食品輸送に適さないものがあったため、コンテナ内部のペンキの臭いが移ったことが原因と判明した。

なぜ食品輸送用以外のコンテナが使用されたかだが、この夏のフランスの港湾労働者のストライキで、フランスの物流が混乱し、コンテナのやり繰りに手違いがあった結果だという。異臭騒ぎが健康に悪影響を及ぼすものでなかったことに安堵するとともに、海外での労働問題が思わぬ形で日本に波及した・・・という点で、食や経済のグローバル化の怖さの一面を見せつけられた事件でもあった。


●硬水と軟水

水には、含まれるマグネシウムやカルシウムイオン等の濃度により、「硬度」という指標があり、硬度が高い(=マグネシウムやカルシウム等の含有量が多い)ものは「硬水」、硬度が低い(=マグネシウムやカルシウム等の含有量が少ない)ものは「軟水」と呼ばれている。

硬水は、水源それぞれのマグネシウム・カルシウム等の含有量の違いにより独特の風味(くせ)があり、直接の飲用には不向きな場合がある。また、マグネシウムやカルシウムのイオンはアルカリ性の石けんと結合しやすいため、泡立ちが悪い、すすぎにくい等で洗濯に不都合な反面、臭みのもとになる食材の灰汁(あく)を出しやすい性質があるため、シチューなど肉の煮込み料理に向いている。欧米では、地下水や河川水が石灰質の地層を長い時間をかけてゆっくりと流れるため、土壌のカルシウム等が多く溶け込んで硬水となりやすい。

軟水は、硬水とは逆にくせがなく、直接の飲用に適しているほか、昆布だし、お茶、お米との相性もよい。マグネシウム・カルシウム等のミネラル分が少ないことから、ミネラルバランスがあらかじめ日本の軟水に合わせて調整されている粉ミルクを溶かす水として適している。日本の河川は短く、土壌にさらされる時間が少ないことから、土壌のカルシウム等があまり溶けず、軟水となりやすい。

欧米では、上水道であっても味覚のうえで直接の飲用に適さない硬水が大半で、例外的に軟水が得られる地域の地下水などを瓶詰めにして販売するようになったものが、市販ミネラルウォーターの始まりである。今回話題になった「ボルヴィック」は、ヨーロッパでは代表的な軟水だ。


●日本でのミネラルウォーターの一般化

そもそも飲用に適した軟水が得やすい日本では、硬水独特の風味を楽しむなど嗜好品として購入することを除けば、1990年代半ば頃までミネラルウォーターはあまり一般的ではなかった。

ところが、河川や湖など水源の水質汚染、汚染悪化による塩素消毒強化から起こる弊害(残留塩素やトリハロメタンの問題)により、日本でも、水道水を直接飲用に使うことに抵抗が感じられた時期があった。一時期の東京、大阪など大都市の水道水は、「かび臭い」「カルキ臭い」などで、とても直接飲めたものではなかったという記憶は、今でも残っている。

そうした水道不信のイメージに、軽くて取扱いの容易なペットボトルの普及が相まって、1990年代半ば以降、日本でもミネラルウォーターを購入することは急速に一般化した。


●「水」の輸入は必要?

今回のミネラルウォーターの異臭騒ぎについては、原因もはっきりしており、影響も軽微ということで、大きな問題とは考えられない。ただ、飲用に適した水を得やすい日本が、わざわざ水を輸入する必要があったかという点で、考えさせられる。

ベビカムウィークリーサーチVOL.56で言及したように、近年、日本の水道水の水質は大きく改善されており、味覚の点でも、ミネラルウォーターに決して引けをとらないレベルに向上している。TVの情報番組などで、水道水とミネラルウォーターの飲み比べ(ブラインドテスト)が特集され、現在の水道水の水質に驚いた人も少なくないだろう。

一方、輸入食品について、価格高騰や安全性の問題が指摘されているのは言うまでもない。そんな中、ウィークリーリサーチVOL.52で輸入食品などの物価高騰に関連して、「食べ物を遠いところから移動させるのは、輸送の燃料費がもったいない、フードマイレージを下げるべき」というベビカムユーザーの意見を紹介したが、水についても同様ではないだろうか。

もちろん、日本の水道水が無条件に100%安全だとは言えない。(直結給水ではない)屋上に給水タンクを持つ高層ビルやマンションでは、建物内の配管老朽化等の影響を受けることもある。

ただ、水を「輸送の燃料を使って、遠いところから移動させる」ことが、絶対に必要だろうか。ましてや、その水を消費した後には、空のペットボトルが山積みである。ペットボトルの資源リサイクルがある程度進んでいることを割り引いても、日本国内で同等に近いものが得られないわけではない水を、わざわざ輸送の燃料を使って運び、廃棄物も発生させていることについて、そろそろ考え直してみてもいいのではないだろうか。


ベビカムウィークリーリサーチVOL.56「家庭で飲む水やお茶、どれくらい気をつけますか?」

ベビカムウィークリーリサーチVOL.52「値上げラッシュの子育てへの影響度は?」


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