「思い通りにいかない」と感じているあなたへ

  • 2017-05-31 12:00
  • 一般公開
  • テーマ:
今月は、実際に足を運んで心に強く残った「第22回NHKハート展」についてお話したいと思います。

「NHKハート展」とは、障害のある人が綴った詩に込められた思いを、各界の著名人やアーティストがアート作品で表現している、詩とアートを組み合わせた展覧会です。

さまざまな気づきや思いが伝わる作品ばかりでしたが、その中から「梅仕事」という一編の詩を、ぜひみなさんにご紹介したいと思います。


梅仕事 作者:野村菜帆 11歳 肢体不自由

ひいばあちゃんと
おばあちゃんもしている
梅仕事
リハビリにもなるからって
ママと二人だけで
続けてきたのに
2さいの妹が
じゃまをする
かわいい妹だけど
これだけは
ぜったいにゆずれない

(「第22回 NHKハート展」作品集より引用)


この少女はどんな気持ちでこの詩を書いたのだろう…

そんな思いをめぐらせていた、その時のこと。作品の前で作者の菜穂さんが明るく談笑していることに気づきました。

ふと目に入った彼女の指先は短く…その指で毎日「梅仕事」に励んでいることを知り、私は胸が熱くなりました。

「梅仕事」からは、思い通りにならない自分をしっかりと受け止めた上で、それでも強い意志とともに前を向いて生きている菜穂さんの心が、伝わってきます。

そのひたむきな強さに触れ、菜穂さんの作品から「生きる力」を分けてもらった思いがしました。

人は時に「なんでも自分の思い通りにしたい」という傲慢さを持つことがあります。しかし、そもそも全てが自分の思う通りになることなどあるのでしょうか。

思い通りにならないからこそ、他者との共存があり、ともに生きようというやさしさが生まれるのです。

転じて、自分の子どもを自分の思い通りにしようとする親も少なくありません。本当は、自分のことさえ思うようにいかないはずなのに…。もし心当たりがある人は、ぜひこの詩を思いだしてほしいと思います。

「第22回 NHKハート展」は6月から、札幌・静岡・徳島・大分・広島・神戸・八戸と全国7か所を巡回する予定とのこと。気になる方は、NHKのホームページから「NHKハート展」で、詳しく紹介がされています。お近くにお住まいならば、ぜひ足を運んでみるのも良いと思います。


*作品集だけでも、NHKのホームページから「NHKハート展」のページから購入することができます。
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