【ベビカム シニア・アドバイザー】聖母病院看護部長・助産師

【第32回】妊婦さんに効果的な母親学級とは

  • 2015-06-29 16:40
  • 一般公開
  • テーマ:
母親学級が抱える問題は施設によってさまざま

先日、助産師向けに開催された「参加型の母親学級」についての研修会に参加してきました。今回はその体験をもとに、私見を踏まえつつ母親学級について書きたいと思います。

研修会にはいろいろな地域から助産師たちが足を運んでおり、一口に母親学級と言っても、さまざまな現状があることを知りました。助産師が少なくお産で手いっぱいという理由から母親学級を行っていない施設や、妊婦さんから「このような内容ならテキストを見れば済む」と指摘されて母親学級をなくしてしまった施設、妊婦さんの要望で拡大している施設、受講料金が問題になっている施設など、どこもさまざまな問題を抱えているようです。

抱える問題はそれぞれ違うものの、研修に参加していた助産師たちは全員、妊婦さんにとって効果的な母親学級を運営したいと考えていました。私もそうした助産師の1人として、どのような母親学級を行っていけばいいのかと常日頃から頭を悩ませています。

たいていの母親学級では詰め込み学習が行われている

そもそも母親学級とは、なんのためにあるのでしょうか。文字から解釈すると「母親になるための学級」ということになりますが、実際はお産に向けた内容や沐浴法の学習がほとんどです。

母親になるということは子どもを産むということ。だから母親学級もお産の勉強が中心になっています。でも、母親になるということはもっと広く深いもの。最近ではお産のための学級を出産準備教室と呼ぶ施設も見られます。

出産準備として必要とされることとしては、妊娠中を快適に過ごすこと、妊娠中に異常を起こさないこと、出産育児用品の準備、出産の経過を知ること、自分の出産をイメージすることなどがあげられます。それを妊娠4~5カ月からの6カ月間に行うのですから、かなりの詰め込み学習になります。

母親学級は通常、全3~4回、1回2~3時間で開催されています。その内容はお産のことに集中していたり、沐浴や赤ちゃんのことも取り入れていたり、助産師以外にも医師や栄養士が出てきたりと施設ごとにさまざまです。

私が勤務している施設では、1回目はグループでの話し合いと当院のお産と母乳育児について、2回目は妊娠中の生活とお産の準備、3回目はお産の経過と小児科医からの話を伝えています。1回の人数が20~25人と多いので、なかなか自分のことを聞けるような環境とは言えないのが現状でしょう。

参加型母親学級の長所と気になる点について

研修では私たち自身が妊婦役・助産師役となって母親学級を体験しました。聞いているだけというのはとても苦痛なものですね。おかげで助産師が欲張るのではなく、妊婦さんも参加する母親学級こそが理想的だとわかりました。

最近の妊婦さんの中にはお産をイメージできなかったり、勉強が必要と感じる人もいるようです。でも、生活の中でもお産について学ぶことはできるし、それまでの知識を応用したり人と話すことで自分なりの答えを見つけることもできるはず。お産のハウツーを学ぶことよりも、妊婦さん自身が答えを導き出すことの方が重要ではないか。それが参加型の母親学級の考え方です。

ただし、参加型は話し合うテーマによって内容に違いが出たり、運営方法によって雰囲気が変わってきます。また、妊婦さんから不満の声があがるのではないかという懸念もあります。まだまだ模索中ですが、可能性も秘めているのが参加型の特徴なのです。

(2005.5)
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