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カチンカチンの遺伝子

  • 2016-02-01 10:46
  • 一般公開
  • テーマ:
重い校門。
ひんやりと広い玄関。
ひとつだけ灯りのついた教室。
むかえを待ちながら宿題をする子ども。

先日、仕事帰りに娘の手をひいて学童保育の申し込みに行ってきた。
娘を預かってくれる「放課後クラブ」は小学校校内にあった。
娘6歳。あと2ヶ月したら、そこに毎日いることになる。

私も、働く母に育てられた。
保育園のおむかえは、いつも暗くなってから。
最後のひとりになることも多かった。
小1の夏に同居していた祖母が亡くなり、
それじゃあ学童に入るしかないかと、母に連れられ見学に行った。

「児童館」と呼ばれる古くて天井が高い洋館だった気がする。
扉を開けると、わっと聞こえる騒ぎ声。
知っている顔もあれば上級生も多い。
有象無象に見えて、ゾッとした。
同じクラスの女子が意気揚々と一輪車に乗っていた。
私は一輪車に乗れなかったし、
いつもは地味に見えていたその女子の、知らない笑顔が嫌だった。

「学童には行かない。ひとりで家に居る」

私は30秒で決断を下し、譲らなかった。

すでに出来上がっている(ように見える)
コミュニティに入って行くことを極端に嫌うところは今でも同じだ。
人見知りに頑固が加わったタイプ。
だから、私に似たところがある娘が「学童イヤ」と言い出したらどうしよう。
おそるおそるの申し込みだった。

ところが娘は、微笑むおばさん先生に向かって小さな声で言ったのだ。
「よろしくおねがいします」

帰り道には、こう言った。
「先生今日はやさしかったけど、慣れたらこわくなるで〜きっと」

あれから34年。
私はカチンカチンのまま、
なんとか大人になり、母になった。
初対面の人の前で私のかげに隠れる娘に、
自分と同じような人間を産んでしまったと思っていた。
しかし、
あれ?そうでもないな。
と思うようなことが最近多い。

ああ、そうか。
私のカチンカチンをものともせず、
いつの間にかするりと隣に来た男がいたではないか。
その遺伝子も引き継いで、娘はもうすぐ、小学生になる。
私とも、誰とも違う人生がどんどん進んでいく。

「友だちがたくさんできるといいなあ」

私が口にしたことのない言葉を、彼女はまた言った。


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